北海道阿寒郡阿寒町大字仁仁志別
僕には秘密の場所があったのです。
V字状になっている谷が僕の秘密の場所……。
今となってはどのへんにあったのかは不明なのですが、家からさほど遠くない所、3~40分も行った所にあったように記憶しています。
V字状の片方の山側から谷へ向かって真っ直ぐに滑って降りて行きます。
滑り降りて4~5メートル行って向こう側の山に向かって上ります。
山の真ん中辺くらいで失速しますから、方向転換して下まで降ります。
今度は 最初に降りてきた山に向かって 降りてきた時に付いたスキーの跡を横登りでならしながら、頂上まで上ります。
(頂上といっても100メートルない位の小さな山なのですが)
そしてまた最初と同じように、前の山に向かって滑っていきます。
2度目は新雪といっても一度踏み固めてあるので、前回よりスピードが出ます。
最初に滑った時と同じ跡を通って行きますから さっきよりも もっと上まで上ることが出来ます。
そして、最初の時と同じように反転して谷まで滑り降ります。
今度は反対側のまだ ならしていない山をさっきと同じように 新雪を横登りで踏み固めて頂上まで登ります。
あ~~頂上まで登ったぞ!
(と言っても 100メートルない位の小さな山です)
周りを見晴らすと、雪! 雪! 雪!
綿菓子のように柔らかいこんもり、こんもりとした雪……。
シーーーン……。
なんたって周りには誰もいないのですから…。
大体僕が遊ぶ時はいつも1人でしたから自分の動きを止めて 周囲を見渡すと自然の沈黙と静寂を身体いっぱいに感じます。
今となっては何事にも代えがたい貴重な体験でした。
さて、両方の山を踏み固めたあとは、もう滑るのみです。
頂上から滑り降りて向こうの山の頂上付近まで行って 方向転換して今来た山に向かって滑って行きます。
そしてまた方向転換して今来た山へ向かって滑っていきます。
つまり、V字状のスロープを振り子のように何度も行ったり来たりするのです。
大体5~6回くらいで谷底で失速します。
そうするとまた、頂上まで横のぼりで登って行って さっきと同じように滑ります。
この方法が、10歳の時に自分で考えついた山スキーの遊び方でした。
1日中飽きるまで滑っていたことを 今懐かしく思い起こしています……。
・・・・スキー遊びの項 終わり・・・
(続く)