北海道阿寒郡阿寒町大字仁仁志別、、、 16

 

 

 少年とやまべだけが存在している、、、、、、

大自然の中の静寂、、、

まるで自然と一体化しているような錯覚に陥るくらいの静けさ

潜在意識にまで届くような静寂、、、、、、

あの様な感覚を以後感じた事はありません  今 思えば 非常に貴重な体験だったのでしょう

秋も 深まったある日 何時もの様に 川釣りを楽しんでいました

夢中になって 上流へ上流へと進んで行くと 一瞬 何かに圧倒される様な場所に出ました

川は大きくカーブしていて 水はユックリ流れています

そのカーブの内側の土手部分は深くえぐられていて 洞窟の様に成っていました

水深は2メートル近くもあったでしょうか

川幅は5メートルくらい

足場は 砂地になっていて、、、、、、

子供ながらにも  この場所は何か厳かな雰囲気がするなぁ、、、 と思いました

釣り糸を その洞窟の方へ 2、3度 流し入れてみました

すると!!

物凄い衝撃が 手に伝わって来ました

ガクーーーーン!!!

な なんだ!?

もう夢中で竿を持ち上げました

川底で やまべの白い腹がピカッと光りました

でかい! これはでかいぞ!

何時もの様に 簡単に竿を川から上げる事が出来ません

そのやまべは 洞窟の奥の方へ逃げようと必死です

少年も 力を込めて 川上の方へ引き上げようとします

少年とやまべの闘いは 5. 6分も続いたでしょうか?

いや もしかしたら もっと長かったかもしれませんが  やっとの思いで そのやまべを引き上げて 左手で握りました!  

その瞬間 白子が ピューっと噴出したのです!

初めての経験でした

今思えば 可哀想な事をしたと 思うのですが その時は 釣り上げた充実感で 

いっぱいでした、、、

通常 やまべの大きさは 15〜20センチなのですが そのやまべは 40センチくらいありました

きっとその洞窟の主 だったのではないでしょうか、、、

最初にその場所に出た時の厳かな感じと 主のようなやまべと 何か 関係が有ったのかも知れません、、、、、、

65年経った今も 忘れる事が出来ない

感動的な 出来事でした、、、

続く、、、

 

 

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