北海道阿寒郡阿寒町大字仁仁志別、、、  6

 

 

 あっ! このお年寄りは 以前見た事があるような気がする、、、、、、

静かな沈黙の中で 必死に何処で見た事があるのかを 思い出そうとしました

あっ そうだ お母さんと一緒に 霧多布 に行った時 いた人だ!

あっ おばあちゃんだ! 良かった 

おばあちゃんだ、、、

と思ったとほぼ同時に 彼女は 低い声でいいました

信義、、、 良く聞きなさい

生みの親より育ての親と昔から言います

今日から お前は 柘植家の 長男です

この人も ボクの味方じゃ無いんだ、、、、、

と思い 淋しさと悲しさが 一気に

膨らんだ気がしました

もう 後は ずうっとうなだれていました  その間 おばあちゃんは 何かを

話し続けていたようでした

今 考えると 柘植家の 長男 跡取りとして立派な人間に育てようという

義務感と責任感が ほと走っていたんだろうと思います

どのくらいの時間が経ったんでしょうか

数分かもしれないし数時間かもしれません

長旅で 疲れたろうから 着替えて休みなさい   と言う言葉に はっと我に帰り 現実に戻りました

おばあちゃんは 寝巻きを何処からか

持って来ました

普段着どころか ランドセル 教科書

ゴム靴 運動靴 等 明日から始まる

新生活に必要なもの 全てが 揃っていました

知らなかったのは 僕だけで 大人達は

皆んな こうなる事を知っていたのでした!

函館 山形 と行った旅行も今に成って思えば ただの旅行では無くて 

函館、、、  柘植広の弟 三郎夫婦

山形、、、 妹 侑子

彼らに 柘植家の跡取りとしての僕を引き合わせるための旅だったのです

、、、、、、、、、、、、 もう すっかり観念するしか無い気持ちと 長旅の疲れもあって

床に入り いつしか 溢れる涙 と共に

眠っていました、、、、、、

続く、、、

 

 

BACK  NEXT