楽器との出会い

最初から3ヶ月の休暇でNYに行きました。3つの目的で。 
2つは完全に果たしたからもういい、日本に帰ろうと思ったらすぐ帰りたくなって帰り支度をしました。
ケネデイ空港についてから出発時間が延びに延びて、何もすることが無いから通路に座ってギターケースからギターを取り出して、ポロポローンと弾いてみました。 
アメリカは空気が乾燥しているせいか、ものすごく良い音がしました。 
あの時のギターの音色は一生忘れることが出来ないくらいの良い音でした。 
ようやく飛行機にも乗れて税金も1万円だけ払って東京の自宅に帰って来ました。 
2,3日してギターの友達数人から電話があり、
宮ちゃん、ギター買ってきたんだって? 何かって来たの?」 
うん、よくわかんないんだけど、DEなんとかって書いてあるよ…
と言うと 、 その友人たちは口をそろえて
エッ! DE なんていうの?」と 、あせった口調で言いましたね…。
僕は興味なさそうに 「デ・ア・ン・ジェ・リ・コって書いてあるよ
と言うと、皆すぐに家に遊びに来たがり、ギターを弾きたがりました。
その様子を見ていて僕は、このギターはそんなに有名なギターだったのか…と思いました。
僕にとっては、ゾリーンと鳴ったすごいギターという意味しかなかったのですが……。 

僕にとってはゾリーンと鳴ったすごいギターだったのですが 、日本に帰ってきたら、やはり以前から使っていたギブソン175の方が弾きやすく、デ・アンジェリコ はケースにしまって押入れの奥の方に押し込んでしまいました。 
だからその時点では、デ・アンジェリコ との出会いはそんなに深いものではありませんでした。
約3年くらいそういう状態が続きました。 
そんなある日、やはりあんな高い値段のギターを放っておくのは勿体無いと思い直し、て歪み始めた体に鞭打つようにデ・アンジェリコ を鳴らすことに挑戦することを決めました。 
あの日から22,3年経った今でもその挑戦は続いています。 
いつになったらこの銘器デ・アンジェリコ が自分の体の一部のようになってくれるのでしょうか……。
                                 (終わり)

(2006.9月 記)

 

 

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