師匠・高柳 昌行さんとの思い出

 

 

高柳さんは つね日ごろ 

「ジャズギタリストを 志すやつらは 

痩せて がりがりで 青白い顔した やつ ばっかりだ。

そして 4畳半で チマチマ ギターを弾いている。」

と言って 憤慨している様子を 隠そうともしませんでした。

 

ある日の 4週目の 本読みあわせ会のとき 15,6人の 生徒たちを 見回して

「お前たち みんな、上半身 裸にして ギターを背負って 四谷の町を 自転車に乗って

走らせるか! そのくらいのことをしないと 度胸がつかないだろう!

まあ、ミヤザキは いいけどな・・・・・」

 

その時僕は 誉められているのか、馬鹿にされているのか 

よく解からないけど 妙に 嬉しい思いが しました。

 

 

『あ、先生に 認められているのかな?』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

多分それは、

僕が アルバイトで チリ紙交換をやって、 町中 大きな声で

「え~~~毎度おなじみ チリ紙交換です・・」と マイクを通して 怒鳴っているのを

つい 先日 自分の目で 見たからかも しれません。

 

  

 

それは チリ紙交換をはじめて 2,3ヶ月して 車の運転にも 慣れた頃

荻窪から あの 雑踏の新宿を抜けて 四谷の 先生のアパートの前に 車を止めて

 

「え~~~~毎度おなじみ チリ紙交換でございます。高柳さん 高柳さん、 古新聞は

ございませんか?」 と 大きな声で 放送しました。

 

先生は 窓から ビックリした顔を 出して じーっと こちらの様子を うかがっています。

すかざず 僕は 「せんせい 僕です。みやざきです。」

と言って 車の 窓ガラスを 下ろしました。

 

先生は 「おー ミヤザキかぁ! 上がれ 上がって来い!」

 

僕は 「はい」と言って 車から 降りました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

   

続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

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