ええ~、毎度おなじみチリ紙交換です…

ギィーーーッ 
えぇーーーー?

音は運転席側のドアの方でしました。 
一瞬、心臓が凍りついたように感じました。
反射的にベンツが止まっている家の玄関を見ていました。 
家の人はまだ気づいてない…。
今のうちに早くこの状態から抜け出さなくてはいけないと 焦りました。 
ギアをバックに入れてアクセルを踏みます。 
するとまたしても ギィーーーーッ!! 
えぇーーー?! 
これじゃ戻ることも出来ないじゃん。 
もう頭は完全にパニック状態です。 
やっぱり先に進むしかないなぁ。
ギアを戻して前進です。 
ギーーーー、ギーーーーー、ギーーーーーーーーッ 
また横目で玄関のほうをチラッと見ます。 
よし、よし、まだ気が付いてないみたいだ。 
一刻も早くこの状況から抜けないと大変な事になる…。
いや、既にもう大変な事になってる!、に違いない。 
もう覚悟を決めて、前に進むしかない。 
アクセルを踏みました! 
ギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ 
もう後は一目散に逃げるのみです。 
こんな時は「えぇ 毎度おなじみ…」なんて言ってる場合じゃありません! 
もう必死で逃げました。 
4, 500メートルくらい離れた場所に車を止めて [犯人は必ず現場に戻る] …と言われるように 僕もその場所から何気ない顔をして あのベンツの状況を見に行こうと歩き出しました…。

                                   (続く)

 

 

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