師匠・高柳 昌行さんとの思い出 6

「こんにちは~」

「おぅ!上がれ」

「お邪魔しま~す」

と言って 部屋に 通されました。

 

奥に机があり その上の棚には レコードやら、譜面らしき物などが ファイルされて

ぎっしり並べられてあったように記憶しています。

 

先生は机の前の椅子に座り その前には 譜面台が置かれてあり 

それを挟んで 向かい合わせに 僕も椅子に座りました。

 

前もって レッスンには クラシックギター(ガットギター)を使うように言われていて

僕はお金も無かったので 質屋さんに行って 安いガットギターを手に入れていました。

 

高校1年から 20歳まで エレキギターを弾いていて、

自分で 少しは ギターを弾けるつもりではいたのですが 

ガットギターを手にしたときは なんじゃコレー と 閉口しました。

 

エレキギターと較べると 感触やアクションが全然違うのです。

しかも 安物だから 音も あまり良くないのです。

 

さて、先生の部屋に行き レッスンを受けるときは 

先生のガットギターを使ってよい事になっていました。

 

それを手にして ポロンと弾いた時 『あぁ なんていい音なんだ、しかも 僕のより 弾き易い。』

そう思っている間もなく 先生が 言いました。

 

「先ずピックの持ち方を 説明する」

 

僕は 心の中で 『ピックの持ち方くらい知ってますよ、もう 6年も7年も弾いてますから・・・・』

と思いましたが まあ 町のギター教室とはいえ、 一応 先生なのだから

説明を聞こうと思って 次の言葉を 待ちました。

 

「右手の中に 卵を 持つような感じで握る。

そして、そのままの形で 親指を少し上げて 人差し指の第一関節のあたりの上に ピックを乗せる。

親指をその上に そっと乗せ 手首を ギターの弦と平行になるように 曲げる。

弦に対して 直角に ピックを当て 右手の スナップだけで 上下に ストロークする。」

 

とまあ、このような説明が ありました。

 

そして実際にギターを持って 6弦を、タ、タ、タ、タ、タ、タ、タ、タ と 八分音符を8個 

規則正しく 上下に ダウンアップで ストロークします。

 

そして 次に 5弦を そして 4弦。さらに 3弦、2弦、1弦 と。

 

次に 8分音符を4個、そして 2個 、

次に 6弦と5弦を 1個づつ。

 

これらの事を テンポを指定されて 「そのテンポで出来るように家で練習してこい」 と言われました。

 

今から考えると こんな退屈な事を よく真剣に練習したもんだな と思うのですが

何せ、当時は 若干20歳で 右も左もわからない。 

しかし、プロのギタリストになるんだ! という 情熱だけが ギラギラ燃え盛っていたのです。

 

そして その道を 進むには 目の前の人の言う事を 素直に聞くしか 

方法はないと信じていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く・・・・・

 

 

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    benben (日曜日, 04 3月 2012 21:50)

    やはりそう言う基礎練習はするんですね。私高校時代はクラシックギタークラブでして、部活で毎回運指の練習とかEのフォームで1から12fまで往復したいりとかやらされていましたね?ただし指弾きでしたが?

  • #2

    カポネ (日曜日, 04 3月 2012 22:15)

    benbenさん

    高校生の時はギターを弾いていたんですか・・
    当時 ギターは 流行っていましたもんねぇ。

    これから連載はどのような方向に進むのでしょうか・・・
    乞うご期待です。お楽しみに!
    コメントありがとうございます。